立春が過ぎた山形 まだまだ寒い日の続く季節
イベント終了後の投稿となってしまいましたが、2月18日に紅花染めの寒中染の体験イベントを開催しました。
この企画は、持続可能な観光地域づくりを目指し設立されたDMC天童温泉様より、本物を追求した企画で行いたいという熱い思いの御声掛けを頂き実現した企画です。
2018年5月 日本遺産に登録された 「山寺が支えた紅花文化」
2019年2月 日本農業遺産に登録された「歴史と伝統がつなぐ山形の『最上紅花』」
山形の成り立ちに無くてはならない花「紅花」
この紅花文化を多くの方に体験して頂きたいとの思いでツアーを立案して頂きました。
「本物の色を届けたい」 本物はどこからどこまでを本物と呼ぶのか
当店でも染料畑の藍の生葉染めの体験と同様に、紅花染めの体験を準備させて頂いておりましたが、その内容としては「手軽に体験」との考えで本物の山形県産の紅餅は使用しますが、助剤の「藁灰」と「烏梅」を使わず市販の薬品のクエン酸と炭酸カリウムを使わせて頂いておりました。ですが今回の企画は、当店の畑で収穫した紅花の紅餅、当店の畑の梅で作った烏梅(ウバイ)と藁を燃やした灰で作った灰汁を使う事となりました。
※当店の商品を染める際は烏梅と藁灰を使っております。
また、当店での体験イベントは染料畑で開催できる5月~10月に行っておりましたが、本来の紅花染めのシーズンは寒く水の冷たい1月~2月です。
担当さんに「本物を追求する為ぜひ1月2月にやりたいんです!」との言葉に、「!?本気ですか!?」と正直思いました。
染めの体験イベントでは、当店で販売している山形県産の「二色染めショール」と同じ絹布を染めて頂いておりましたが、紅花だけで染めたショールは鮮やかで美しいのですが、実際に紅花だけで染めたスカーフの似合う方もいらっしゃるのですが、普段使いとなると好みの分かれる色です。
でも、紅花だけで染めた絹布もお持ち帰り頂きたい。
それを両立させるため2枚の絹布を染めて頂く事となりました。
1枚はスカーフ、もう一枚は何にするか・・・憧れる物は紅の反物ですが、初めて紅花染めをする方に10mを超える反物を染めるのは不可能という事で、掟破りな方法ではありますが、反物を染めれる長さにカットして染めて頂く事となりました。
反物が紅花だけで染める事が決まれば残るはショールです。
ショールは1種類だけでは選ぶ楽しさが無いという事で、当店で人気の「紅花×ウコン」と「紅花×ゲンノショウコ」に決まりました。
紅花とウコンの重ね染は、古くから「紅鬱金(ベニウコン)」として人気の色で、紅花もウコンも当店の染料畑で収穫した物です。ウコンは沖縄が有名ですが、当店で育てたウコンでも色が本場の物より薄目で薬効も少なそうではありますが、染めるには十分な色が出ます。ゲンノショウコも当店の畑で収穫したもので古くから生薬として使われ紅花と非常に相性の良い染料です。
大寒は過ぎたものの、まだまだ寒い山形。屋外での寒中染ですので、体験される方々は寒さに耐えれるのか、それ以前に参加者は集まるのだろうか・・・とう不安でいっぱいのスタートでしたが、なんと募集開始から約3日で予約の枠がいっぱいとなり完売致しました。
当日は気温も氷点下にならず、絵的には雪の中が良かったのかも知れませんが、染めるには丁度良い天気。
染め液は冷たかったですが、参加して下さった方々も「寒中染」と覚悟を決めて参加して下さった方々でしたので寒さに負けず皆様熱心に染めて頂きました。
紅花染めの体験の後は、紅花を使った温かいランチを楽しみ、その後は当店の蔵の展示場にて、紅花の歴史・文化的なお話や、当店で染めた紅花染めの着物や骨董の紅花染めの着物、江戸時代の口紅などの見学と説明をさせて頂きました。 ※この内容はまた別の機会にでも・・・
今回のツアーに参加頂きました皆様、企画を立てて頂いた「DMC天童温泉」の皆様、御協力頂きました「山形県 観光文化スポーツ部 文化財活用課」の皆様、本当にありがとうございました。