紅餅を作る理由
紅花は古くから「紅餅」という状態に加工されてきました。
何故か?昔は乾燥させる技術が無かったから。という簡単な理由だけではありません。
私は化学を専門に学んだ訳では無いので、独自の解釈にはなりますが、写真を見て頂きますと1枚目は昨日に水洗いを行い木綿に包んだ物、2枚目が約14時間経過した物になります。
昨日、紅花を三片紅の頃に摘み取ると言いましたが、少々赤みも多いですが、この状態での理想は赤3:黄7です。
14時間の経過で9割程度「紅」の状態になりました。
一般に「発酵」とは呼んでいますが酵素反応らしく、赤の色素のカルタミンの前物質がカルタミンに変化するのだとか。
なので、この発酵が完全に行われ、腐敗する前に丸めて潰して煎餅状にして乾燥させます。
一般に販売されている染料の紅花は、この紅餅の他に「乱花」(らんか)と呼ばれる状態の物もありますが、これは摘み取った花弁をそのまま乾燥させた状態の物です。ですので発酵の工程が無いのでカルタミンの含有量が少なく、同じ「紅」の濃さに染めるには倍以上の量が必要となります。ただ紅餅は食品としての扱いをしていないので、製造過程の衛生状態はあまり良くない場合が多いので、料理に使うのであれば乱花の物をお勧めします。(当店では屋外で井戸水を使っていますので、食品としては・・・^^;)
三枚目の写真は紅木綿(べにもめん)
山寺の芭蕉記念館所蔵の長谷川家の紅花屏風のも描かれていますが、(時間のある方は、ぜひ探してみてください)この写真は昨日の摘み取った花弁を洗い流した液に真っ白な木綿を一晩浸した物を水洗いしている所です。
「紅」の部分である色素のカルタミンは難溶性とは言え、水に全く溶けない訳では無いので、若干ですが流れ出します。
そこで出てくるのが、植物性繊維の木綿です。植物性繊維は「紅」をしっかりと吸収するので、水洗いを行えば水溶性のサフロールイエローは流れ落ち「紅」だけが残ります。
この紅木綿は昨日の作業の分だけですが、畑一枚分の紅餅を作る工程で出る廃液の全てを吸収させると塵も積もればなんとやら・・・
この紅木綿の使い道は、また何かの機会にでも