秋分 ~繭と藍~

先週は台風が来たり、寒いかと思えば暖かくなったりとしているうちに秋分。

「今年の天気は変だ」などと毎年言っている気もしますが、染料畑で今年の天気を考えてみると夏からの日照が少々足りなかった気がします。
紅花は収穫直前に強風で少々倒されてはしまいましたが、作柄も良く十分な量が収穫する事が出来ました。

ですが、藍は今年は少々残念な状態です。
雨は十分に降ってくれたのですが日照が足りなかったのか、とにかく成長が悪い。

沈殿藍や生葉染めで、「もう少し!もう少し育ってから!」と思っていたら、秋の気温低下で一気に花が開花・・・・

沈殿藍も生葉染めも藍の花が咲いてしまうと葉の色素量が減ってしまいなかなか良い色になりません。
そうこうしているうちに、当店の養蚕の時期に突入してしまい、もうてんやわんやの状態でした。

まずは、御蚕様の話から。

8月末に当店に来た御蚕様は1センチにも満たない大きさでしたが、15日頃には私の小指に近い5センチ程まで成長しました。
毎日、蔵王の桑畑へ新鮮な桑の葉を軽トラックの荷台いっぱいに収穫しモシャモシャと桑の葉を食べ続け18日には糸を吐き始めました。

糸を吐き始める頃の御蚕様は「熟蚕」と呼ばれる状態で、体が薄っすらと黄色くなり光に透かすと透明感のある体になります。
そうなったらもう大忙し。御蚕様用の高層マンションの「回転蔟」へ引っ越しです。長方形の白いケースに熟蚕の御蚕様を集めて一気にザザッと回転蔟へ

しばらくすると御蚕様は我先にと上層の部屋を目指します。殆どの御蚕様が回転蔟にしがみついたら回転蔟を吊るします。
吊るすとどうなるかと言えば、上層階が人気で入居希望者が多くなると中心の軸を中心にグルっと蔟が回転します。
先に入居して部屋で糸を吐き始めてしまった御蚕様は引っ越しが出来ませんので下層の部屋に、回転したので上層の部屋がガラ空きですので、後から登ってきた御蚕様も上層の部屋に入れます。そうこうしているうちに糸が吐きたくなった御蚕様は真ん中の部屋でもいいかな~となり、全体に満遍なく入居となります。

外側は綺麗な白い繭になりましたが、まだ内側では御蚕様がせっせと繭を作っていますので来週頃に繭の収穫となります。

つぎは、藍の話を。

もう少し葉が多くなり葉の色が深くなってから作業をしようと思っていましたが、気温が下がってしまい「秋だ!」と花穂を付け始めてしまいましたので、慌てて収穫。収穫した藍は生葉染でも使いますが、まずは沈殿藍作りへ。

収穫した藍の葉はたっぷりの井戸水に漬け込んで、3~4日ほど寝かせます。表面に膜が張り液の色がエメラルドグリーンになったら葉や茎を取り出します。
取り出した液に畑に使うのと同じ消石灰を投入。あとはひたすら撹拌です。
撹拌したら1~2日ほど置いて、消石灰に水に溶けた藍の色素が結合して底には泥状の「沈殿藍」が。
出来た藍は、今年使っても良いのですが、気温が低くなる時期で瓶の中で発酵建てをするには厳しい季節なので、冷暗所で保管して来年使います。

生葉染めもたっぷり行いましたが、そちらはまた別の機会にでも。

染めで使う量よりも植えている量が多いので、藍の咲いてしまった花は、例年同様にドライフラワーの花束にして楽しみます。
店の軒先に藍の花が下がっていますので、展示会にお越しの際には藍の花もお楽しみ頂ければ幸いです。

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