天からの虫

瓶屋では「繭玉の正月飾り」をはじめ、数々の「繭」の商品を扱っております。
以前は鶴岡の業者より繭を購入していたのですが、生産者の多くは高齢者となり、生産量の減少などから繭の仕入れが年々難しくなりました。

将来的に見た場合、今の生産者の殆どが高齢者と言う事もあり、今教えて貰わなければ教わる事が出来ないと思い、今年から繭を置くことにしました。

道具も何も無い所からの出発で、蔵王で養蚕をやっておられる方からお蚕様や道具を別けて頂き飼い始める事となりました。

瓶屋の染料畑にも数本の桑の木があるのですが、いざ飼い始めると全く足りず、瓶屋のある平清水の中を桑の木を探すことに・・・以前はここ平清水でも多くの方がお蚕様を置いていたとの事で、私が小さな頃の30年近く前にも、まだあちらこちらに桑畑があり、遊びながら桑の実を食べていましたが、いざ探してみると全くと言って良いほど桑の木は姿を消していました。

我が家の土地に残っていた桑も、何十年と養蚕には使っていなかった為、高さも5メートルを超える様な高さにまで大きくなりハシゴを掛けて葉を採りましたが枝ぶりも良くなく餌としてもあまり良い状態ではありませんでした。近所に長年使っていない桑畑が一箇所あったのですが、こちらも同じような状態で、お蚕様や道具だけでなく、大半の桑の葉も蔵王の養蚕家の方に別けて頂く事となりました。

日本はかつては世界でも最高の品質の生糸の生産国でしたが、今では日本で流通するシルクの国産は3%だけとなってしまいました。

遥か古来より、人々は野生であった蚕を飼育し、品種改良を重ね今のこの美しいシルクとなりました。「天」の「虫」と書いて「蚕」
虫でありながら一匹、二匹では無く、一頭、二頭と数え家畜として大切に育て、「お蚕様」と大切にしてきた物が、今失われつつあります。

桑の本数も足りず、技術も知識もまだまだ足りませんが、今後も布の分までは足りませんが、「繭」の商品の分だけでも自前で育てた物を使えればと思います。

お蚕様の写真は、あまり虫が好きでない方も多いかと思い、写真は差し控えさせて頂きます。
私自身も、実際に始めるまでは、ちょっと・・・・でしたが、慣れると可愛いです。

今は回転マブシと呼ばれるお蚕様が繭を作る場所にほぼ全てのお蚕様が登った後です。

(この回転マブシも、おもしろいんですよ♪ マンションと同じでお蚕様は上の部屋が人気で、上の部屋から繭を作り始めるのですが・・・上の部屋がいっぱいになると・・・重さでグルンッ! 早い入居者さんは、繭を作ってしまっているので上に移動できません。遅く来た方はガラ空きの上層階の部屋へ)
やっとひと段落といった所です。四日程で完全な繭となり、その後は乾燥の工程に入ります。
数は実際に繭を採る時にならないとはっきりした数は出ませんが、おおよそ1500個程になりそうです。

普通の養蚕家の方々は、1万頭、2万頭と飼育されますので、ほんの微々たる数です。
反物を一反作るのに、おおよそ2600個の繭が必要との事で、うちの繭では反物1反にもならない数です。

来春からは、桑の木をもっと増やし、いずれは桑の葉もうちの染料畑の物だけでと考えています。

投稿者プロフィール

瓶屋の息子草木染工房 瓶屋 店長

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